LifeCanvas technologies / フィルジェン ID: J01904

顕微鏡イメージング 3D組織イメージング受託解析サービス ID: J01904

組織を 3 次元的にとらえ、組織の空間イメージング解析を行うことができます。従来の技術と比較して、組織の微小環境の空間的および形態学的な分析を詳細かつ高精度に実施することが可能です。

サービスについて

概要

現在の組織分析において主流となっている 2 次元による切片組織の分析手法は、組織の微小環境について空間的に解析を行う場合や、形態学的な分析はかなり限られた情報しか得られません。また、従来法では何百ものスライドを処理しなくてはならないことや、複雑な生物学的プロセスを理解する上で、組織を少量しかサンプリングできない場合など、様々な問題点がありました。
本サービスは、これらの問題点を解決するため、LifeCanvas 社独自の CLARITY 法を利用した組織透明化技術とサンプル処理法を組み合わせて 3D 空間イメージングを実施することができます。

特長

  1. SHIELD(組織保存法)
    LifeCanvas社で独自に開発された SHIELD法*1は、生物学的組織の標準的な PFA固定を補完および強化する組織保存技術です。エポキシド分子が組織内に拡散し架橋することで、物理的および化学的なストレス要因から、内因性蛍光分子やタンパク質、核酸および、全体的な組織構造を固定し、強固な骨格が形成されます。このSHIELDの組織保存法は複数回の蛍光タンパク質および抗体標識によるイメージング解析に影響なく保護することが可能です。

    *1.Protection of tissue physicochemical properties using polyfunctional crosslinkers. Nature Biotechnology (2019) 37: 73-83

  2. Clear+(組織透明化)
    CLARITY テクノロジー(Clear Lipid-exchanged Acrylamide-hybridized Rigid Imaging / Immunostaining / in situ-hybridization-compatible TissuehYdrogel)は、2013年に Nature に掲載された論文で初めて公開された技術*2です。組織に含まれる脂質は、顕微鏡解析時に光を散乱してしまい、画質が不明瞭になる原因となっています。そのため、光学的な顕微鏡解析において、脂質による不透明度を解決することが解析結果を左右するカギとなります。 LifeCanvas社ではこの技術を利用した透明化技術である「Clear+」システム*3 を開発し、サンプルの形態や構造的な影響を最小限に抑えてサンプルを脱脂し、光学的に透明化することで、機械的な強度や分子の安定性、三次元構造を保持したまま解析を行うことが可能です。

    *2.Structural and molecular interrogation of intact biological systems. Nature (2013) 497: 332-337.
    *3.CLARITY for mapping the nervous system. Nature Methods (2013) 10: 508-513.

  3. SWITCH(抗体標識制御)
    SWITCH法は大きな動物やヒトの組織サンプルの処理中に生じる様々な化学反応を効率的に制御するためのシステム*4です。この技術は主に 2 つの手順からなり、化学物質とバッファーが組織全体を自由に拡散できる状態にすることで、化学反応を抑制させるステップ(SWITCH-OFF)と、バッファー環境を化学反応が可能な状態まで急激に変化させるステップ(SWITCH-ON)を切り替えることで、組織表面から内部構造へ均一な免疫染色を行うことができる上、構造や生体分子、抗原性などを保持した状態を維持することが可能なため、多重化イメージングのために 20 回程度までの再標識を可能にしています。(fig.1

    *4.Simple, Scalable Proteomic Imaging for High-Dimensional Profiling of Intact Systems. Cell (2015) 163(6): 1500-1514.

  4. Stochastic electrotransport(分子輸送)
    確率的電気輸送(Stochastic electrotransport; SE)は、多孔質サンプルを迅速かつインタクトに組織サンプルを処理することができる LifeCanvas社の特許技術 *5 です。脱脂や免疫染色などの処理工程は、従来、マウスの脳組織など大きなサンプルをインタクトに処理する場合、抗体を組織表面から内部へ浸透させ標識させるのに時間がかかる場合が多く、制限がありましたが、この SE法は回転電場を使用することで、組織内の帯電した構造に損傷を与えることなく、多孔質サンプル全体に電気移動性の高い分子(抗体や界面活性剤ミセルなど)を拡散させることが可能です。これによって大きなサイズの組織サンプルも短時間で効率的に脱脂でき、核やタンパク質の染色、および抗体染色において高い均一性を実現しています。上記の SWITCH法と組み合わせることで iDISCO法や CUBIC法よりも短時間な均一性を実現しています。

    *5.Stochastic electrotransport selectively enhances the transport of highly electromobile molecules. PNAS (2015) 112 (46): E6274-E6283
  5. eFLASH(組織免疫染色)
    短時間で組織サンプルを均一に染色することができる高速組織標識技術が eFLASH*6 です。この方法は上記の SE 法と抗体の結合親和性の反応条件の調節を組み合わせることで、組織サンプルの表面で飽和することなく組織内部まで浸透させ、均一な染色を実現しています。はじめは、高 pH と高デオキシコール酸ナトリウム(Sodium Deoxycholate;NaDC)濃度により、抗体の結合が妨げられていますが、実験中に、pHと NADC濃度を徐々に低下させていくことで抗体の親和性が徐々に高まり、最終的に pHは中和され、NADC濃度が低くなることで、抗体がサンプル全体に均一に結合します。(fig.2

    *6.Ultrafast immunostaining of organ-scale tissues for scalable proteomic phenotyping. bioRxiv (2019)

  6. SmartAnalytics(3D データ解析)
    独自のソフトウェアである SmartAnalytics を利用し、SmartSPIM ライトシート顕微鏡(LifeCanvas社製)から取得したテラバイトサイズの 3D イメージングデータから解析を行うことが可能です。マウスの脳組織において取得した 3D イメージングデータについて、データベースとなる Allen Brain Atlas への正確に位置合わせを行うことで、非常に粒度の細かい脳領域の正確な細胞数と蛍光強度の局在を解析できるため、複数サンプルを処理することで統計的優位性試験を実現し、ヒートマップを作成することが可能です。(fig.3

解析のアプリケーション

本サービスでは、解析のアプリケーションとして c-Fos による神経活動マッピング、アミロイドβ定性化、内因性蛍光マッピングの 3 タイプをご用意しています。その他、カスタムでのイメージング解析も可能ですが、カスタムの場合は生物種や組織タイプの種類などにより、ご対応できる場合とできない場合がございます。詳しくはお問合せください。

解析のワークフロー

本サービスは、以下の手順で解析を実施いたします。(fig.4)本サービスは、サンプル処理からデータ解析までフルパッケージのサービスとなっております。なお、解析で使用されている製品は、全て LifeCanvas社が独自に開発、製造、特許取得した製品を使用しています。
これらの製品は購入も可能です。
⇒製品のご購入はコチラ

ご提供データについて

ご依頼頂いた解析内容によってデータ容量が大きく異なる場合があります。データ容量に合わせて CD/DVD、USB メモリー、HDDまたはCloudなどの電子媒体を使用して納品いたします。主なご提供データは以下の通りです。
  1. 生画像データ(.tiff スタック形式)
  2. 実験条件や解析条件などの作業内容を含めたレポート(解析内容により Powerpoint あるいは Word 形式にて作成)
  3. サンプルの染色およびイメージング深度を定性的に視覚化するためのビデオとスナップショット(ご希望の場合のみ)
  4. この他、ご希望に応じて画像処理されたファイルを作成いたします。

サンプル条件

本解析では、以下の方法でご準備頂いたサンプルの解析が可能です。条件を満たさないサンプルの場合は、解析できない場合がございますので、ご注意ください。また、以下に記載のない組織タイプなどの場合は、事前にご相談ください。
受入れ可能な生物種 マウス、ラット
サンプルサイズ寸法 軸方法(高さ)に最大 12mm、横方向に 40mm x 60mm
対応サンプルタイプ ・脳
その他の臓器は解析内容によりご対応できる場合とできない場合がございます。
詳しくはお問合せください。
固定方法および 保存方法 ご提供サンプルは、必ず以下の固定方法を実施したものでご準備ください。
・4%パラホルムアルデヒド(PFA)で 4℃、24時間インキュベート
・PFA以外の固定方法は使用しないでください。
・サンプルはご発送前に 4℃、PBS+NaN3(0.02%)に保管してご準備ください。
*50mL チューブの上部まで充填した状態でご送付ください。キャップをパラフィルムで密封してください。
良好なデータを取得するため、ヘパリンを利用した灌流固定を推奨しております(残留血液は自家蛍光性で、特に一次抗体が同じ宿主生物に由来する場合、非特異的な抗体染色を引き起こす可能性があります)。

【推奨する灌流固定プロトコル】
1.液体が透明になるまで、10U/mL ヘパリンを含む氷冷 1x PBS で、げっ歯類を経心腔的灌流し、続いて氷冷 4%PFA を流す。
2.脳または選択したサンプルを採取し、4%PFA 溶液中で、4℃ で 24時間、穏やかに振盪しながらインキュベートする。
3.サンプルをPBSで 2 回洗浄し、発送前に 0.02% アジ化ナトリウムを含む PBSにサンプルを保存する。
サンプル採取時の 注意事項 ご提出いただくサンプルに切り傷や亀裂が含まれている場合、サンプル処理中に伝播する可能性があります。これらの切り傷、亀裂等は抗体を引っかける窪み(シンク)として機能し、非特異的なシグナルを生じさせる要因となる場合があります。また、物理的な変形や損傷は、Allen Brain Atlas への適切な位置合わせを妨げる可能性があります。
灌流は、組織表面に見える血管に赤みがなく、組織内部に閉じ込められた気泡がなく、高品質であることが重要です。不完全な灌流は、血管の自家蛍光と非特異的染色(特にマウスホスト抗体の場合)につながる可能性があります。
サンプル送付時の注意事項 サンプルに内因性蛍光マーカー(GFP、mCherry、tdTomato など)が含まれている場合は、サンプルチューブをアルミホイルで包み、遮光してください。
いずれの解析に使用する組織サンプルも凍結禁止です。必ず 4℃輸送でご発送ください。

ご注文に関して

お問い合わせフォーム よりお問い合わせください。

参考価格・納期

サービス項目 アプリケーション 価格(税抜) 納期
顕微鏡イメージング 3D組織イメージング受託解析サービス c-Fos による神経活動マッピング
アミロイドβマッピング
内因性蛍光マッピング
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関連サイト