概要
空間トランスクリプトーム解析は、組織切片上の細胞の位置情報を保持したまま遺伝子発現を解析できる革新的な解析技術です。従来のバルク解析やシングルセルシングルセル解析では失われていた「どの細胞が、どこで、どの遺伝子を発現しているか」という空間情報を保持したまま解析できる点が大きな特長です。
Xenium In Situ(10x Genomics社)は、FFPE切片および新鮮凍結切片の双方に対応した、高解像度の空間トランスクリプトーム解析プラットフォームです。特定の遺伝子パネルに対応したプローブを組織切片上のmRNAに直接ハイブリダイズさせ、蛍光シグナルとして可視化することで、単一細胞レベルで数千遺伝子の発現を空間的に同定します。
Xenium In Situ は、組織構造と遺伝子発現の関係性を直接的に解明できるため、がん微小環境解析、病理学的研究、創薬研究、トランスレーショナルリサーチなど、幅広い分野での応用が期待されています。
解析内容
Xeniumでは、Padlock probeと呼ばれる、標的遺伝子配列に相補的な配列を両端に持つ南京錠型プローブを使用します。ターゲットmRNAに正確にハイブリダイズしたプローブのみが、両端のライゲーションにより環状構造を形成します。この環状プローブに対してRolling Circle Amplification(RCA)を行うことで、蛍光色素結合配列を多数含む長鎖DNAが生成され、高感度かつ高特異的な検出が可能となります。FFPEブロックから作製した組織切片スライドに対し、このPadlock probeおよびRCAケミストリーを用いることで、最大約5,000遺伝子のRNA発現を高い空間解像度で検出します。取得されたデータは、10x Genomics社提供の専用解析プラットフォーム Xenium Onboard Analysis により、細胞セグメンテーション、遺伝子発現解析、空間可視化まで一貫して解析可能です。
* FFPEブロック作製、スライド作製等の一連の作業において受託対応可能。
* FFPE切片スライド、新鮮凍結切片スライド(10x Genomics社)での受付も可能。
Xenium専用スライドには、235mm
2(10.45mm x 22.45mm)の解析領域が搭載されており、解析領域を規定する fiducial frame が設けられています。本フレームはイメージングおよび空間座標取得の基準となり、組織切片はフレーム内に配置する必要があります(
fig.2)。これにより、組織構造と遺伝子発現情報を高精度に対応付けることが可能です。
特徴
Xeniumで解析後の組織切片を用いて、H&E染色やVisiumによる空間的遺伝子発現解析を実行することも可能です。
空間解像度:XY方向は30nm未満、Z方向は100nm未満(転写物の局在精度)
【検出遺伝子数】
・Xenium v1:最大480遺伝子+100カスタマイズ
・Xenium Prime 5K:5,000遺伝子+100カスタマイズ
解析例
Xenium Analyzerで取得したデータは、専用ソフトウェア Xenium Explorerにて解析結果を直感的に可視化できます。Xenium解析後の組織切片をH&E染色し、その画像を遺伝子発現マップと重ね合わせることで、形態学的特徴(組織構造や細胞の分布)と分子情報(遺伝子発現パターン)を統合的に比較可能です。これにより、例えば特定の細胞集団の局在や、病変部と周辺部の遺伝子発現差異を明確に捉えることができます。(
fig.3)(
fig.4)(
fig.5)
【プローブセットについて】
Xenium In Situでは事前に検証された遺伝子パネルセットを使用することが出来ます。
設計済みパネルに無い遺伝子等を目的とする場合にはカスタムパネルを設計することも可能です。
設計済みパネルと主なターゲット例(ヒト)
・腫瘍免疫:免疫細胞、チェックポイント等(380遺伝子)
・多組織・がん:乳房、結腸、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓などの遺伝子マーカー(377遺伝子)
解析可能なサンプル
| アプリケーション |
Xenium In Situ (Prime 5K / v1) |
| サンプル |
FFPEブロック、FFPE切片スライド、新鮮凍結切片スライド
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切片の厚さ
- OCT包埋された新鮮凍結切片:10μm厚
- FFPE切片:5μm厚
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事前に別途切片を作製し、次に示す方法を用いてQCを終えていること
注)事前確認は通常のスライドガラスに張り付けて実施してください
- In situ hybridization (ISH)による組織切片上での検出可能なRNAの量を確認する(推奨)
- DV200測定
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| 動物種 |
ヒトまたはマウス
(Xenium v1 全生物種最大480遺伝子フルカスタム可能(*))
* ヒトまたはマウス以外の場合は事前にご相談ください
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| 解析メカニズム |
数百~最大5千遺伝子をターゲットとするトランスクリプトームパネルを使用して組織中の発現遺伝子を検出する。
・Xenium v1:最大480遺伝子+100カスタマイズ
・Xenium Prime 5K:5,000遺伝子+100カスタマイズ
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納品物
〇Xenium Analyzer 出力データ
・analysis_summary
・Xeniumファイル
〇(H&E染色を委託した場合)画像データ
・H&E染色画像ファイル