概要
コスモ・バイオ社では腸内細菌の16S rRNA遺伝子による「メタゲノム解析」を用いて解析いたします。
解析オプションとしてメタゲノム解析データ成型解析によるα多様性、β多様性解析、Unifrac Distance解析をサービスメニューとして用意しております。またPICRUStなどの解析も対応可能です。さらに、コスモ・バイオ社では糞便中の腸内環境解析メニューとして、腸管バリア機能の指標といえるムチンとIgA含量の測定を行っています。
メタゲノム解析受託サービス
- 糞便からのゲノムDNA抽出から菌叢解析(fig.1)(fig.2)
糞便からゲノムDNAを抽出し、16S rRNA領域配列を用いた次世代シーケンサーによるメタゲノム解析にて腸内フローラの解析を行います。メタゲノム解析では次世代シーケンサーを用いて1検体あたり100,000リードを目標として腸内フローラの網羅的な解析を行います。
α多様性解析(次世代シーケンス解析納品データに含まれます)(fig.3)
α多様性とは個体内の環境における種多様性を表す指標です。
本サービスでは下記について、サンプルごとの多様性指数を算出し腸内細菌種数の比較が可能です。
・ASVs:ASVの検出数
・Shannon:種の豊富度と均等度を表す指数(希少な種の影響を受けやすい)
・Simpson:種の豊富度と均等度を表す指数(主要な種の影響を受けやすい)
・各サンプルの系統学的多様性(PD: phylogenetic diversity)
β多様性解析
メタゲノム解析データを成型し、ヒートマップ、PCoA解析2D、3Dプロットデータ、樹形図を作成致します。
Distance Matrix(Heatmap)(fig.4)
全サンプルの菌叢の違いを総当たりで距離データとして計算します。
・Bray Curtis:群集が似ているときに 0 となり、全く異なる際に最大値 1 を示します。
・Weighted UniFrac:微生物の存在量を考慮 (リード数の重みをつけて評価)
・Unweighted UniFrac:微生物の存在量は考慮せず検出された菌種で評価
*「Euclidean」「Manhattan」の解析も可能(各¥40,000/試験)
UPGMA tree (平均距離法)(fig.5)
サンプル間の類似度(非類似度)を視覚化するために、階層的クラスタリング解析を行った結果です。群集構造が近いサンプル同士でクラスタリングされます。上流で分かれるほど菌叢が違うことを表します。また、枝の長さが菌叢の違いを表します。
PCoA(主座標分析)(fig.6)
PCoAはサンプル間の類似度(非類似度)を視覚化するものです。プロット位置の距離は群集構造の類似度を表現し、距離が離れるほど菌叢が違うことを意味します。
各軸には寄与率が与えられ、情報量の何%をその軸で説明できるかを表します。
- 粉末糞便を用いた腸管バリア機能(IgA、ムチンの定量)
消化管内では IgA とムチン等によって、腸内細菌や腸内細菌が産生する毒素が生体内に侵入してくることを阻止しています。 (fig.7)コスモ・バイオ社では腸管バリア機能として、糞便中のIgA 含量およびムチン含量を測定します。(fig.8)(fig.9)IgAはELISA、ムチンは自社開発した蛍光測定キット(品番:FFA-MU-K01)にて測定致します。
αディフェンシン測定
マウスの小腸で分泌されるαディフェンシンのなかで最も抗菌活性が高く、腸内環境に与える影響が大きいと考えられているCryptdin-4(Crp4)1)をELISAにより測定します 。2)なお、測定対象となるマウスストレインはICR/CD1です。3)
参考文献
1. Garcia AE, et al., Biochemistry. 2011 Dec 6;50(48):10508-19.
2. Nakamura K, et al., Anal Biochem. 2013 Dec 15;443(2):124-31.
3. Michael T. S. et al., Infect Immun. 2011 Jan; 79(1): 459–473.